Udemyで「今度こそ勉強しよう」と講座を買ったのに、最初の数本を見ただけで止まってしまった。そんな経験がある人もいるでしょう。
これは単純に「意志が弱いから」と片付けられる問題ではありません。オンライン学習では、教室の授業と比べていつ学ぶか、どこまで進めるか、どう復習するかを自分で管理する必要性が高いからです。
2024年に公開されたオンライン高等教育のシステマティックレビューでは、110研究を分析し、学習継続・離脱には、学習者の動機、授業の質、満足度、学習支援、技術面、学習負荷など複数の要因が関係していると整理されています。
さらに2026年の成人向けeラーニングに関するレビューでも、時間不足、動機の低下、学習負荷が離脱要因として繰り返し報告され、継続には動機づけ、学習支援、フィードバック、社会的な関わり、自己調整が関係するとまとめられています。
そこでこの記事では、「Udemyを買ったのに見なくなる」という現象を、オンライン学習研究から5つの要因に整理。そのうえで、Udemyの学習リマインダーなど実際に使える機能も組み合わせ、続けやすい方法を考えます。
なお、ここで紹介する研究の多くは大学のオンライン授業、MOOC、成人向けeラーニングなどを対象としています。Udemy受講者だけを対象に「○%が挫折する」と示した調査ではありません。そのため、研究結果をUdemyへそのまま当てはめるのではなく、共通する「自分で学習を管理する環境」の知見として利用します。

- 結論|続かない原因を「やる気不足」だけにしない
- 理由1|オンライン学習は「いつやるか」を自分で決める必要がある
- 理由2|「受講するつもり」と実際に再生することには差がある
- 理由3|講座全体を目標にすると大きすぎる
- 理由4|動画を見るだけだと「進んだ感」と学習が一致しないことがある
- 理由5|一人で学ぶほど「分からない」で止まりやすい
- リマインダーは有効?「通知さえ出せば続く」とは限らない
- では、どうすれば続けやすい?研究から作った5段階ルール
- 全部見ないと意味がない?目的によっては「完走」を目標にしなくてもよい
- 買う前にできる「積み講座」対策
- まとめ|続けるコツは「意志」より学習環境を設計すること
- この記事の調査・出典について
結論|続かない原因を「やる気不足」だけにしない
研究を横断すると、オンライン学習が止まる理由は次の5つに整理できます。
| 止まりやすい要因 | Udemyで起こりやすい例 | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 時間管理 | 「暇なときに見る」のまま予定が入らない | 曜日・時間を固定する |
| 先延ばし | 今日は疲れたので明日に回す | 開始条件を具体化する |
| 目標が大きすぎる | 30時間の講座を完走しようとして重く感じる | 1回の学習単位を小さくする |
| 受け身の視聴 | 動画を見るだけで理解した気になる | 思い出す・試す時間を入れる |
| 孤立・支援不足 | 分からなくてもそのまま止まる | 質問・他者との共有を使う |
※この5分類は研究論文の公式分類ではありません。後述する複数のレビュー・研究で指摘された要因を、Udemyで実行しやすい形に当サイトが整理したものです。
重要なのは、「もっとやる気を出す」より、やる気が低い日でも開始できる仕組みを作ることです。
理由1|オンライン学習は「いつやるか」を自分で決める必要がある
学校や対面講座なら、「毎週水曜日19時から」のように時間が外部から決まっています。
一方、Udemyの買い切り講座は、原則として購入後も継続してアクセスできます。Udemy公式では、アカウントが良好な状態で、Udemyが講座のライセンスを保持している限り、購入講座に継続アクセスできると案内しています。
これは大きなメリットですが、学習者側から見れば「今週中に見なければならない」という締め切りが自動的に設定されないことも意味します。
オンライン学習では、こうした自由度の高さと引き換えに、自分で計画・進行・振り返りを行う自己調整学習(Self-Regulated Learning)の重要性が高まります。
2024年のアンブレラレビューでは、コンピューターやオンラインを利用する学習環境では、計画、管理、振り返りといった自己調整能力への要求が高くなると整理されています。31件のシステマティックレビュー・メタ分析を検討した研究でも、自己調整を支援する仕組みの重要性が示されています。
対策|「時間があったら」ではなく予定に入れる
2026年のメタ分析では、大学生13,506人を含む31研究を統合した結果、時間管理と学習成果には中程度の正の関連(r=0.250)が確認されています。
ここからUdemy向けに考えるなら、「今週3時間勉強する」という曖昧な目標より、
- 火曜20時30分から20分
- 木曜の通勤電車で2レクチャー
- 土曜朝9時から30分
のように学習時間を先に予定へ入れる方が実行条件を明確にできます。
Udemyには、ブラウザーとモバイルアプリの両方に学習リマインダーがあります。毎日・毎週・1回から頻度と時間を設定でき、ブラウザー版ではGoogle、Apple、Outlookなどのカレンダーへ追加することもできます。

理由2|「受講するつもり」と実際に再生することには差がある
講座を買った時点では、学習意欲が高いことがあります。
しかし、「勉強しようと思っている」ことと「実際にPCやスマホを開いて再生する」ことは同じではありません。
オンライン授業と先延ばしを扱った2023年の研究では、先延ばし傾向がある学生ほど、オンライン授業環境で成績への悪影響が大きかったと報告されています。研究対象はイタリアの大学生でありUdemyそのものではありませんが、外部から時間を決められにくい環境では先延ばしが問題になり得ることを示す一例です。
対策|「いつ・どこで・何をするか」まで決める
目標達成研究では、「○○をする」と思うだけでなく、特定の状況になったら特定の行動をするという実行意図(implementation intention)が研究されています。
94の独立した検証をまとめたメタ分析では、このような「if-then型」の計画が目標達成に中~大程度の効果を示しました(d=0.65)。ただし、これはUdemy学習だけを対象にした効果量ではなく、幅広い目標行動を対象とした研究です。
Udemyなら、
- 「平日の夕食が終わったら、Udemyを1本再生する」
- 「朝の電車に乗ったら、イヤホンを付けて前回の続きから見る」
- 「土曜9時になったらPCを開き、30分だけ演習する」
のように決められます。
「時間ができたら勉強する」ではなく、「この状況になったら始める」まで決めるのがポイントです。
理由3|講座全体を目標にすると大きすぎる
Udemyには数時間の講座もあれば、数十時間に及ぶ講座もあります。
「この30時間の講座を終わらせる」と考えると、学習開始前から負担を大きく感じる人もいるでしょう。
2026年の成人向けeラーニング研究のレビューでも、時間制約や学習負荷は離脱要因として繰り返し報告されています。
一方、目標設定そのものについては、「目標を設定すれば必ず学習成果が上がる」と単純化できるほど研究結果は一様ではありません。
2024年の高等教育における目標設定研究60件のシステマティックレビューでは、目標設定の方法には大きなばらつきがあり、実験的に効果を検証した研究はまだ限定的だとされています。
対策|「修了」ではなく次の20分を目標にする
そこで当サイトでは、講座全体を毎回意識するのではなく、その日に実行できる小さな単位へ分解する方法をおすすめします。
| 大きすぎる目標 | 小さくした目標 |
|---|---|
| Python講座を修了する | 今日はレクチャー3本を見る |
| Excelをマスターする | 今日はVLOOKUPの章だけ |
| 毎日1時間勉強する | まず20分だけ始める |
| 資格講座を全部見る | 今週は第2セクションまで |
これは「20分が研究上の最適時間」という意味ではありません。開始の心理的負担を下げるための当サイトの実践例です。
理由4|動画を見るだけだと「進んだ感」と学習が一致しないことがある
Udemyでは動画を次々に再生できるため、「今日は2時間見た」という達成感は得やすいでしょう。
ただし、学習研究では教材へ繰り返し触れることと、あとで内容を思い出せることは別です。
Nature Reviews Psychologyのレビューでは、学習内容を時間を空けて学ぶ分散学習(spacing)と、答えを見ずに思い出す検索練習(retrieval practice)について、多様な教育場面で学習保持を高める研究が蓄積していると整理されています。
これは「検索練習をすればUdemyを退会しなくなる」という研究ではありません。
ただ、せっかく学習時間を作るなら、動画をただ流すより理解できた実感を得やすい学び方へ変える材料にはなります。
対策|動画を止めて「何を覚えているか」確認する
たとえば10~20分見たところで動画を止め、画面を見ずに、
- 今日覚えたことを3つ書く
- 操作手順を自分で再現する
- 学んだ用語を説明してみる
- コードを見ずに書いてみる
- クイズがあれば自力で答える
といった時間を入れます。
「1日で3時間見る」より、「何日かに分けて見て、その都度思い出す」方が、分散学習と検索練習の考え方には近くなります。
理由5|一人で学ぶほど「分からない」で止まりやすい
オンライン学習は自分のペースで進められる一方、教室のように周囲の学習者や先生が常に目に入るわけではありません。
2023年のシステマティックレビュー・メタ分析では、知覚された社会的支援と自己調整学習には正の関係があり、教師からの支援などが戦略的な学習と関連していると整理されています。
2026年の成人eラーニング研究のレビューでも、継続に関連する要素として社会的交流やフィードバックが挙げられています。
対策|質問を「止まる理由」にしない
UdemyでQ&Aが利用できる講座なら、分からない部分を抱えたまま何日も止めず、既存の質問を検索したり質問したりする方法があります。
また、家族や友人、同僚に、
- 「今月この講座を進める」
- 「金曜までにここまで見る」
- 「覚えたことを週末に説明する」
と共有しておくのも、一人だけで完結させない方法です。
ただし、「誰かに宣言すれば必ず継続率が上がる」とUdemyについて確認されたわけではありません。ここでは、社会的支援と自己調整学習の研究から考えた実践方法として提案しています。

リマインダーは有効?「通知さえ出せば続く」とは限らない
学習継続策として分かりやすいのが通知です。
Udemyには、ブラウザー・モバイルアプリの双方で学習リマインダーを設定する機能があります。曜日、時間、頻度を指定し、特定の講座を関連付けることもできます。
ただし研究を見ると、「通知を出せば必ず継続する」とまでは言えません。
成人39人を対象としたオンライン教育プログラムの小規模ランダム化試験では、現在の進捗位置も記載した個別化リマインダーを受けた場合、一般的なリマインダーより予定どおり学習している確率が14ポイント高かったと報告されています。
一方、別のオンライン職業訓練のランダム化評価では、個別化されたリマインダーは単純な標準メールに比べ、受講開始を明確には増やしませんでした。
研究条件や対象者が違うため単純比較はできませんが、リマインダーだけに頼るのではなく、時間・場所・学習内容までセットで決める方が現実的です。
では、どうすれば続けやすい?研究から作った5段階ルール
ここまでの研究を、Udemyで実行できる形にまとめます。
1.「修了日」より次の学習日時を決める
「今月中に終わらせる」だけでなく、まず次にいつ再生するかを決めます。
Udemyの学習リマインダーやスマホのカレンダーへ登録して、学習を予定の一部にします。
2.1回の学習量を小さくする
「今日は2時間」では重ければ、「レクチャー2本」「20分」など開始しやすい量にします。
予定より進められれば、そのまま続ければよいだけです。
3.開始条件を固定する
「毎日勉強する」ではなく、
- 夕食後にPCを開いたらUdemy
- 通勤電車に乗ったらUdemy
- 土曜9時になったらUdemy
というように、「いつ・どこで」を具体化します。
4.見るだけで終えず、最後に1回思い出す
学習終了時に「今日の重要ポイントは?」と自分に問い、答えを見ずに3つ程度思い出してみます。
プログラミングやExcelなら、最後に1つだけ自力で操作する方法もあります。
5.止まった理由を記録して対策を変える
3日、1週間と止まったときに「自分は続かない」と判断するのではなく、原因を分けます。
| 止まった理由 | 変えること |
|---|---|
| 時間がない | 1回の学習時間を短くする |
| 忘れる | リマインダーを設定する |
| 難しい | 前の章へ戻る・質問する・別の基礎講座を使う |
| 動画が長い | レクチャー単位で区切る |
| 内容が目的と違う | 必要な章へ移る、場合によっては講座自体を見直す |
| 見ても頭に入らない | 視聴量を減らし、検索練習や実践を増やす |
「継続できなかった」という結果ではなく、どこで仕組みが合わなかったかを見る方法です。
全部見ないと意味がない?目的によっては「完走」を目標にしなくてもよい
Udemyでは、講座を100%修了すること自体が目的とは限りません。
たとえば仕事で「Excelのピボットテーブルだけ知りたい」人なら、必要な章を理解できれば目的は達成できます。
一方、「未経験からPythonを体系的に学ぶ」「資格試験範囲を一通り勉強する」といった目的なら、順番に進める意味は大きくなります。
したがって、
- 知りたいことが限定されている → 必要な章を優先
- 体系的な理解が必要 → カリキュラムに沿って継続
と分ける方が合理的です。
「講座を全部見ていない=失敗」と決めてしまうより、最初に設定した学習目的を達成できたかで判断した方がよいでしょう。
買う前にできる「積み講座」対策
継続策は、講座を買った後だけではありません。
特にUdemyはセール時に講座をまとめて購入しやすいため、まだ始めていない講座が増える場合があります。
そこで購入前に、次の3つを決めます。
- この講座で何ができるようになりたいか
- いつ最初のレクチャーを見るか
- 今受講中の講座より先に買う理由があるか
「安いから買う」だけではなく、開始日時まで決められる講座を買うという基準にすると、未受講講座を増やしにくくなります。
まとめ|続けるコツは「意志」より学習環境を設計すること
オンライン学習の研究を横断すると、学習が止まる背景には、時間管理、先延ばし、学習負荷、動機、自己調整、支援など複数の要因があります。
そのため、Udemyの講座を買ったのに見なくなったときも、「自分には根気がない」と考えるより、次の仕組みを見直す方が具体的です。
- 次に学ぶ曜日と時間を決める
- 「この状況になったら始める」と開始条件を決める
- 1回の学習単位を小さくする
- 動画を見るだけでなく、内容を思い出す時間を作る
- 分からないところで止まったら質問や支援を使う
- 止まった理由によって対策を変える
Udemyには学習リマインダーなど、継続を支援する機能も用意されています。
「30時間の講座を完走する」と考えるより、次の20分をいつ始めるかを決める。そこから学習を再開する方が、具体的な一歩になります。
この記事の調査・出典について
調査日:2026年9月4日
調査対象:オンライン高等教育、MOOC、成人向けeラーニング、自己調整学習、時間管理、先延ばし、目標設定、検索練習等に関するシステマティックレビュー、メタ分析、実証研究、およびUdemy公式ヘルプを確認しました。
記事での扱い:学術研究で確認された事実と、Udemy公式機能についての事実を分け、その両方を材料にした具体的な継続方法は「当サイトの実践提案」として記載しました。
研究上の注意:引用した研究の多くはUdemy受講者だけを対象としたものではありません。大学オンライン教育、MOOC、成人eラーニング等を含むため、各研究の離脱率や効果量を「Udemyでも同じ」とは扱っていません。
- Rahmani, Groot & Rahmani(2024)「Dropout in online higher education: a systematic literature review」:オンライン高等教育110研究を対象に離脱要因を整理。
- 成人向け継続教育eラーニングの2026年レビュー:時間制約、動機、学習負荷、支援等を整理。
- Prasse et al.(2024)「Challenges in Promoting Self-Regulated Learning in Technology Supported Learning Environments」:31件のレビュー・メタ分析を統合。
- Jia et al.(2026)「Systematic review and meta-analysis of the impact of time management on college students’ learning outcomes」:31研究・13,506人を分析。
- Zhao et al.(2025)「A meta-analysis of the correlation between self-regulated learning strategies and academic performance in online and blended learning environments」:42研究、11,014人を分析。
- Gollwitzer & Sheeran(2006)「Implementation Intentions and Goal Achievement」:94の独立検証を統合したメタ分析。
- Carpenter, Pan & Butler(2022)「The science of effective learning with spacing and retrieval practice」:分散学習・検索練習に関するレビュー。
- Udemy Help Center「学習リマインダーを設定する方法」:ブラウザー・モバイルでのリマインダー機能を確認。
- Udemy Help Center「Lifetime access」:購入講座へのアクセス条件を確認。

